前回は整式の展開を学習しました。例えば,\( (x + 1)(x + 2)\)を展開すると
\( (x + 1 )(x + 2)=x ^{2} + 3 x +2 \)
となります。このことから,\(x ^{2} + 3 x +2 \)は\( (x + 1 )(x + 2)\)のように整式の積の形で表すことができるともいえます。このような展開の逆の操作を因数分解といいます。ここでは,因数分解について学習します。
因数分解
因数分解・因数:
\( (x + 1 )(x + 2)=x ^{2} + 3 x +2 \ \)のように,1つの整式を1次以上のいくつかの整式の積の形に表すことを因数分解といいます.このとき,積をつくる各整式をもとの整式の因数といいます.
因数分解は,展開と逆の操作になっています。
展開は分配法則や展開公式などを使うことでどんなに複雑なものでもいずれ計算をすることができますが,因数分解は因数を見つけないといけないので一般に展開より大変な場合が多いです。その関係は,展開は機械製品(もしくは,ジグソーパズル)を分解するのに似ていて,因数分解は機械製品を組み立てるのに似ています。バラバラにすることはできても、組み立てるのは困難な場合が多いです。
例:一般に因数分解は難しい
$$ (x + 2 y + z )(2x + 3y + 2z)= 2 x ^{2} + 6 y ^{2} + 2 z ^{2} + 7xy + 7yz + 4zy $$左辺を右辺のように展開することは,(多少大変でも)機械的に分配法則を利用してできます.しかし,右辺が与えられたときに,ヒントがない状態で左辺のように因数分解することは困難です.
因数分解の手順
一般に,展開より難しい因数分解ですが,定石があります.ここでは因数分解の定石を学習します.
共通因数をくくり出す
整式の各項に共通な因数があるとき,それをかっこの外に括り出すことで、因数分解をすることができる場合があります.
\[ AB + AC=A(B + C) ,\ AC + BC=(A + B)C\]
例:共通因数の括りだし
(1)\(6 x ^{3}y ^{2} -21 x y ^{3} \)
\begin{align*} 6 x ^{3}y ^{2} -21 x y ^{3}&=3xy^2(2x ^{2} -7 y ) \end{align*}
(2)\( a(x-y)+ b(y-x)\)
式の一部をひとまとめにすると見通しが良くなり共通因数を括り出すことができる場合があります.
公式による因数分解
乗法公式を以前、学習しました。乗法公式は展開に利用する公式でしたが、それを逆に利用すると次の因数分解の公式を得ることができます。
因数分解の公式(1):
(I)\( a^2+2ab+b^2 = (a+b)^2\)
(Ⅱ)\( a^2-2ab+b^2 = (a-b)^2\)
(Ⅲ)\( a^2-b^2 =(a+b)(a-b) \)
(Ⅳ)\(x^2+(a+b)x+ab = (x+a)(x+b)\)
たすき掛け
上で扱った公式以外の公式を使った因数分解を扱います.
因数分解の公式(2):
(Ⅴ) \(acx^2+(ad+bc)x+bd = (ax+b)(cx+d)\)
たすき掛けの手順:
公式(Ⅴ) \(acx^2+(ad+bc)x+bd = (ax+b)(cx+d)\)を利用した”たすき掛け”の手順をまとめていきます。
①掛けると\( x ^{2} \)の係数になるような数の組\( a,\ c\)を見つける。
②掛けると定数項になるような数の組\( b,\ d\)を見つける。
③\(ad + bc \)を計算して、その値が\( x\)の係数に等しくなるものを見つける。
例:たすき掛けを使った因数分解
公式\(acx^2+(ad+bc)x+bd = (ax+b)(cx+d)\)を利用して,\( 3 x ^{2} + 5 x + 2\)を因数分解します.
そのために係数を比較して\( \ a,\ b,\ c ,\ d\ \)を求めます.
つまり,\(ac=3,\ ad + bc =5 ,\ bd=2 \)となる\( a,\ b,\ c,\ d\)を見つければいい.
例えば,\(ac=3 \)に着目すると,例えば、\( a=1,\ c=3\)は \(ac=3 \)を満たします.このとき,\( bd=2\)を満たす整数\( b,\ d\)として
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} b= 1 \\ d = 2 \end{array} \right. \ \ \ \ \left\{ \begin{array}{l} b = 2 \\ d = 1 \end{array} \right. \end{eqnarray}
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} b= -1 \\ d = -2 \end{array} \right. \ \ \ \ \left\{ \begin{array}{l} b = -2 \\ d = -1 \end{array} \right. \end{eqnarray}
の候補を考えることができます.それぞれについて\(ad + bc \)をチェックします.
上の緑で囲ったところを見ると,\( a=1,= c=3 ,\ b=1,\ d=2\)が\(ac=3,\ ad + bc =5 ,\ bd=2 \)を満たすことが分かります.
したがって,\( 3 x ^{2} + 5 x + 2=(x + 1)(3 x + 2)\)と因数分解されることが分かりました.
因数分解の工夫
式の一部をひとまとめにして、1つの文字のように扱う
2つ以上の文字を含む正式において、最も次数の低い文字について整理すると因数分解が簡単になることがあります。
最も字数が低い文字が2つ以上あるときは、そのうち1つの文字について整理するとうまくいくことがあります。


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